静かに閉館を知らせる音楽が流れだす。
もうそんな時間なんだ。
「帰るか。」
「そうだね。数学、間に合いそう?」
「間に合うように見えるか?」
「ペース配分は自分で頑張ってよ。」
既に荷物を片付け終わっていたあいつは、出るぞとカバンを持ちあげている。
「まって、今出るから。」
私の言葉を聞いているのか、いないのか先に歩いだしている。
机に散らばっている残りの荷物をかき集め、カバンに突っ込み、あいつの後を追いかけた。
エントランス付近で立っている。結局は待ってくれているあいつの優しさに顔が綻ぶ。
「待たせてゴメン。ありがとう。」

