「約束って男子じゃなかったの?」
「俺、そんなこと言ってないと思うけど。桐生も用事があったんだろ。それはもういいのかよ。」
「うん。大丈夫。」
話に割って入る勇気はなくて、自転車を押しながらゆっくりとあるいて近づく。
「ハナ、遅い。」
近づいた私にすぐに気づき、またな、桐生、と声をかけその場を離れた。
いつもの女の子は桐生さんっていうんだ。
名前が分かっても、あいつとの関係性は分からない。
全く言葉を発しないまま私の前を行くあいつ。
なんのために呼ばれたのだろう。
急にあいつから連絡がきたことも、駐輪場で桐生さんといたことも、私を戸惑わせることしかしない。
だけどあいつは説明をしてくれない。
徐々にスピードが遅くなって、たくさん自転車が並んでいるところに止めた。
私もあいつにならって自転車を止める。

