「喧嘩してたね~、佐々木君と。」

見られていたのは恥ずかしい。さっきまでのことを説明する。

「それはヒヤっとするね。で、どうするの。」

「どうするってなにを?」

「このままケンカしっぱなしってわけにはいかないでしょ。」

「そうなんだけど…」

あんなに怒らなくてもよかったなって冷静になった今では思う。

でもすぐに許すのも癪に障る。

「今まではどうやって仲直りしてたの?」

「今まで?……ケンカしたことないかもしれない。」

ちょっとした言い合いは日常茶飯事だけど、あいつに対して怒ったことは初めてかもしれない。

あいつが腹を立てたという記憶も私にはない。

「意外かも。いつもあんなに言い合いしてるのに?」

「うん。それ以上にはならないね。」

「そっか。仲直りは早めの方がいいよ。ハナもずっと意地張ってたらだめだよ。」

みっちゃんはそう言うと、職員室に用事があるといって先にいなくなった。