「普通、監察医になるためには医学部に通う必要があります。十八歳で監察医なんて普通なれませんよね!?」

そう言う圭介に蘭は資料を置いて口を開く。蘭は普通に学生生活を送ったわけではない。

「私は十歳の頃、アメリカに住むことになりました。飛び級ができる州だったので一年アメリカの高校に通い、それからアメリカの医大で法医学を学んで十五歳で監察医になりました。ずっとアメリカの世界法医学研究所で働いていましたが、十七歳の頃に日本に戻ってきたんです」

そう淡々と話す蘭を見て圭介は金魚のようにパクパクと口を動かしている。言葉にならないほど驚いているのだ。

「つまり、この子は最年少の天才監察医ってわけ」

ゼルダがそう言い、蘭の肩を抱き締める。蘭は無表情のまま驚き続ける圭介を見つめ続けた。

その頬が何故赤くなっていくのか、蘭にはわからない。