連れてこられたのは街灯のない高台だった。
ぐんぐんと進む伯父の背中を追って香織は必死に足を動かす。

「待って!こんな所まで来て何するのよ?」

首筋を撫でる風が段々と冷たくなってきた。
真っ暗な道が香織の不安を掻き立てるように永遠と続いている。
振り返って笑う伯父はついて来れば分かるとさらに歩幅を大きくした。
人のいい笑顔にこわばっていた肩の力が抜けるのを感じる。
これ以上何を問いかけても無駄だと悟った香織は黙々と後を追うことにした。

さて何故こんな状況になったのか。
香織は歩きながらも少しだけ頭を抱えた。
簡潔に言えば伯父の思い付きである。
しかし、そもそもの火を付けるきっかけは香織だったのかもしれない______。