ふいに、ベルカの顔が頭をよぎった。
―自分は、この女性にベルカを重ねているのか?
手の平に、汗が滲む。
「…ラクリアル・ラバサー。俺の姉ですよ」
ザスクートに、下心があるとは到底思わない。
だがラーバンには、それを理由に断る事もできるのだ。
「後は、ザスクートに任せる。…俺は、何も言わないから」
立ち上がったひょうしに、つまずきそうになる。
それでも平常心でいるラーバンに、ザスクートは1人で息をついた。
扉が、王によって静かに閉められる。
―どっちの部屋か分かったものじゃないな。
机に頬杖をつき、写真を見つめる。
姉の写真を指先で軽く押し、くるくると回してみる。
…それでも、四角く切り取られた姉の時間は、変わらなかった。
「…他に、どうしようもなかったんだ」
唇を、噛み締める。
鉄の味がするまで、強く強く。
1人になると、言い訳の言葉を次々と吐き出してしまう。
「守りたかったんだ。『王』を。ラーバン王を。…幼なじみを……」
両手で、顔を覆う。
どうしようもない感情が、胸の中で膨らんでいった。
叶わない恋が、どんなに辛いか、知っているから。
「…どこまでも、ガキな幼なじみだ………」
―自分は、この女性にベルカを重ねているのか?
手の平に、汗が滲む。
「…ラクリアル・ラバサー。俺の姉ですよ」
ザスクートに、下心があるとは到底思わない。
だがラーバンには、それを理由に断る事もできるのだ。
「後は、ザスクートに任せる。…俺は、何も言わないから」
立ち上がったひょうしに、つまずきそうになる。
それでも平常心でいるラーバンに、ザスクートは1人で息をついた。
扉が、王によって静かに閉められる。
―どっちの部屋か分かったものじゃないな。
机に頬杖をつき、写真を見つめる。
姉の写真を指先で軽く押し、くるくると回してみる。
…それでも、四角く切り取られた姉の時間は、変わらなかった。
「…他に、どうしようもなかったんだ」
唇を、噛み締める。
鉄の味がするまで、強く強く。
1人になると、言い訳の言葉を次々と吐き出してしまう。
「守りたかったんだ。『王』を。ラーバン王を。…幼なじみを……」
両手で、顔を覆う。
どうしようもない感情が、胸の中で膨らんでいった。
叶わない恋が、どんなに辛いか、知っているから。
「…どこまでも、ガキな幼なじみだ………」


