One s death -the last sword-

ザスクートは元は貴族だった。
だが、行儀のよい貴族の生き方に嫌気が差しわずか９歳で家を飛び出した。
まだ子供なのに、ザスクートは何を感じていたのだろう？
その後、偶然街に出かけていたラーバンと仲良くなり城で住む事になったのだ。
「ラーバン王？」
ぼーっとしていた頭を強くふる。
写真で微笑む女性は、嘘に嘘を重ねているのだ。
真に、自分だけを愛してくれている人間がこの中にいるのだろうか？
自分に紛らわしく付きまとう、権力や地位といったものを除いても自分だけを愛してくれる者。
「ザスクート、俺は…」
「もう駄目なんですよ、ラーバン王」
ザスクートが、軽くため息をついた。
芝居がかった仕草で、前髪をかきあげる。
「もう子供じゃないんだ。この事を簡単に思ってるようじゃ、王をやっていけない。一緒にやっていかなければならない民に、不安を広がらせてどうします」
ぐっと言葉につまった。
ラーバンは、ザスクートの顔だけを見ながら深くため息をつく。
「……嫌味…ですかぃ?」
「そうともとれるかもしれないな」
指先で写真をあさくり、金色の髪の女性を指差す。
「こいつの名前は?」
「…確か、ラクリアル・ラバサーです」