One s death -the last sword-

多分時間が流れるように、当たり前の事だけど大切な事だったんだ。
「…ラーバン王、いらっしゃいますかぁ?」
挨拶も程々に、机の上にたくさんの写真が並べられた。
こんな無礼な事ができるのは、幼なじみのこいつだけだろう。
ザスクート・ラバサー。
「何だ、ザスクート」
「お元気そうで何より。いやね、街の方で少しラーバン王の噂を聞いちゃいまして」
「…噂?」
ザスクートは、ラーバンの許しも得ずに手近な椅子に座った。
「えぇ、噂。…この頃、俺のいない間にラ・サズリック王国の女性と仲良くなったんですって?」
―ベルカの事か。
ラーバンは知らず知らずのうちに唇を噛み締め、うつむいた。
ザスクートが、声を低くしてラーバンを見つめる。
「今まで女性の影がなかった方が異常だったんですけどね。ただ、民にとってはそっちの方が当たり前なんです。…民は、ベルカ様との関係を良くは思っていない」
いつの間に、街の民にまで情報がまわったのだろう?
そんな事を考える暇もないまま、ザスクートは写真を広げた。
「ご希望に添えないかもしれません。でも、民に不必要な心配をさせるよりはマシなんです」
ラーバンは、何も言えないまま写真を見た。