「ウィード・ガウンを授かった時です」
俺は流れにのるようにして、仰向けになった。
こうして空を見上げると、本当に地球が丸いのが分かる。
実際に自分の目で見たものしか信じない、堅物ではないはずなのだが。
「授剣式っていうんですけど、その時色々な過程があって。その過程の中に『剣質』っていうのがあるんです。剣を授ける人に対して色んな質問をしていき、その際に『マーク』をしるすんですよ」
「…なんて」
「『嘘偽りひとつもありはしない…』って」
静かに静かに、俺は息を吐き出す。
手の平で地面を触ると、冷たくて小石がざらざらする。
もう7年前の足跡は、ない。
…少しでも触れたかったのに。
俺は昔の俺と戦っていて、とても世界を小さく感じた。
「やっぱりレディック様、熱とかあるんじゃないですか」
「…本当は分かってるくせに」
目を閉じると、今まで見ていた青空が浮かんだ。
雲の流れは、少し速い。
「レディック様、ちょっとついてきてくれますか」
レベッカは急に立ち上がり、俺の腕を引いた。
何の力も入れずに、仰向けになったままの状態から立ち上がらせられる。
「ちょっ、どこに…」
景色が足早に、俺の横を通り過ぎる。