「レディック様?」
レベッカは俺の動作を見逃さず、心配そうに顔を覗きこむ。
真実を知った今、この国の復興は手放しに喜べない。
この国の民の苦労を想像すると、顔を上げる事ができない。
俺は歯がゆい気持ちで斜め下を向いたまま、唇をかんだ。
「さて宿の方はどうします、お客様。この通りをまっすぐ行けば、多少大きい宿屋もありますが」
「…そこをお願いします。名前は『スエック・シエーザー』で」
レベッカとタリーさんの声が、とても遠くで聞こえる。
俺の判断は、本当に正しかったのだろうか?


もう、この国は―王を必要としていないかもしれない。