元々このカスクライ王国はただの街に過ぎなかったのだ。だが、後のカスクライ王国初代王は街と街との戦に負け、先祖の残した莫大な遺産で王国をつくってしまった。
その時に選ばれたのが、当時『サン・ライト』太陽の光、と呼ばれていた広大な土地の街である。その街に住んでいた民は非常に少なく、平民から一国の王になる人間にはもってこいだった。
『サン・ライト』は奇形な形をしており、街を見下ろす緩やかな丘を初代王は気に入っていたらしい。その丘の中央に王城が築かれたのも、そのせいだ。
城は3つに分かれており、1番小さく華がないのがコックなその他もろもろの手伝いが住んでいる、西舘こと『ラビーズ』。
東に位置する武器や宝を置いた正方形の舘が東舘こと『ラギー』。
そして王城の3分の1の面積をしめる、本舘こと『キャシュリッツ・ア・ラーベール』城。
北と東を薔薇園に囲まれ、南に庭園をかまえている。本舘には、東薔薇園を一望できる俺の部屋もあった。薔薇園には、季節を問わず様々な薔薇を見る事ができる。
小さくても美しい野薔薇・多種類の大きな薔薇・そして俺の母上、第52代ラクリアル・キャンクイールが品種改良をした薔薇達が隙間もなく美しく植えられている