「今から18年前、ラ・サズリック王国のクリスタント王とベルカ王女の間に、レディック様がお生まれになりました。民に心から祝福され、お育ちになったレディック様は4才の時俺と出会います」
俺はレベッカの話を聞きながら、盗賊から奪った毛布を引き寄せた。
水やお湯、少しの食料もある。
「そして6才の時、この『ウィード・ガウン』をクリスタント王から頂きます。…覚えてないですか、この剣の名前の意味」
少し考えてみたが、まるっきり分からない。
静かに首を横にふると、悪戯を思いついたようにレベッカは声をひそめた。
「『さだめられた自由』…です」
「自由…」
左の腰に差した『ウィード・ガウン』は、柄に施された金だけが闇夜にきらめいていた。
無駄な装飾がない、実践向けの剣。
「この剣に手をかけると、何か見えませんか?…それこそが、ラ・サズリック王国の王城です」
目を閉じて、記憶を思い返す。
あの城は、いつも記憶の中で…。
「…燃えてた」
「ラ・サズリック王国は、その国の中心部に大きく美しい湖をかまえ、活気あふれる街と民と共に生きんとする王族とで、長年にわたって各国と平和を築いていました。ですがその裏では、緑があふれて産業・工業共に