「…いえ。朝、レディック様が起きられる前に出発しました」
この互いの落ち着きようは、一体何なんだ。
静かに息を吐き出すと、後ろで剣を抜く音が響いた。
花瓶に差されてある赤い薔薇を後ろに放り、そのままその手でマントの留め金を外す。
「その薔薇を、レディックに渡してくれ。…レベッカ・ラクロイム」
「ラーバン王。王の今までのレディック様に対する行為、許されるものではないはず」
影が、頭上に覆いかぶさった。
不思議な程、心は落ち着いていた。


「…死をもって償え」




the last sword……