運命というものがあるのなら、人生は全く面白くないと思う。
誰かに運命を左右されているのなら、もっと面白くない。
だけど、多分決まっていた。
あの日を予想する者がいる限り、俺の運命は決まっていた。
そしていつの日かを境に、俺は決められたレールの上を走る事をやめて、必死にレールを壊していた。
傍には、誰もいない。


大きな窓から、風が優しく吹いてくる。
風が運んでくるのは、薔薇の甘い香り。冬を向かえた今となっては少し寒いが、色とりどりの薔薇は見事に咲き誇っていた。
ある程度の広さがある俺の部屋は、高級そうな絵画が飾られているだけで後はベッドと巨大な本棚があるだけ。窓際には、かろうじて装飾過多な白いロッキングチェアもある。
本棚に隙間もない程つめられた本は、全て呼んだ。生憎目は悪くなったが、ほとんどの内容を覚えている。
「レディック様。失礼します」
ドアを軽く叩いた音がしたかと思うと、レベッカが立っていた。うしろには、アリアをひきつれて。
「レベッカ。どうしたんだ…休暇をやったはずだけど」
「レディック様の身辺警備は俺しかいないんですよ?もし敵に襲われたらどうします」