One s death -the last sword-

が、その時突き出した石に爪先がひっかかった。
自分の運の悪さに顔を歪ませ、小さく悲鳴をあげる。
剣だけは手放さないように強く握り、歯をくいしばった。
顎を強くうち、激しい痛みに起き上がりそうになったが、転んだ力を前転に変え片膝をついて刃を受け流す。
だが次の瞬間、十何本もの刃の先が俺を狙った。
全て喉元を狙っており、これを避けきる方法は見当もつかない。
冷や汗が、背中を伝った。
正面の刃を睨みつけると、微かに刃先が揺らいだ。


「父上!!…父上!!」
廊下が騒がしくなったかと思うと、次の瞬間には扉が開いていた。
珍しく取り乱しており、額には汗をかいている。
ともかく、こんな息子を見たのは何年ぶりだろうか…?
「ラクトンか!!」
「はい、父上。王は、王を助ける方法を…」
ラ・サズリック王国全体を見る事ができる地図を開くと、頭の中に不安がつのっていく。
王は無事なのか…。
ラクトンがそう考えている内にも、ディットは国のいたる所にある放送機を調節していた。
マイクを数回叩き、音が出る事を確認すると窓に近づき話し出した。
「ラ・サズリック王国の民よ。今、我が国の王は戻ってきている…」