俺のささやかな反抗に、ラーバンは俺の首筋に剣をあてている兵士に目をやった。
途端に刃の力が強まり、肌を薄く切って生温かい血が喉元を伝う。
ごくんと、生唾を飲み込む。
「そっちの方が完全に有利なのに、俺のささやかな反抗も駄目なんだ?」
「ラ・サズリック王国王か…。そうだったな、無力で無知な王。
真実を知れて満足か?自分の居場所のない真実を。ここの民は確かに王を強く欲してはいたが、理想の王はお前自身ではなかったはず。
戻りたいのだろう?
不安になったら自分の身代わりとなる者がいくらでもいる、生温いあの大きな城に」
「…戻りたいよ」
アリアの、不安に満ちた瞳が俺を捕えている。
何百人、何千人そして何万人の人間の思いや考えを、全て受け入れられる程俺は賢くない。
「戻りたくてたまらないよ。
ロアもセアも、嫌いな教師も嫌な物も、全部全部大切にするから戻りたいって、目を閉じて何回も願った。
逃げ出したくてたまらなくて、ここから逃げるにはどうしたらいいか考えてた…」
だけど1人でも何人でもいいから理解する事ができたら、俺はまた微笑む事ができるのだろう。
幸せになろうと頑張る努力を、支える事ができるのだろう。
途端に刃の力が強まり、肌を薄く切って生温かい血が喉元を伝う。
ごくんと、生唾を飲み込む。
「そっちの方が完全に有利なのに、俺のささやかな反抗も駄目なんだ?」
「ラ・サズリック王国王か…。そうだったな、無力で無知な王。
真実を知れて満足か?自分の居場所のない真実を。ここの民は確かに王を強く欲してはいたが、理想の王はお前自身ではなかったはず。
戻りたいのだろう?
不安になったら自分の身代わりとなる者がいくらでもいる、生温いあの大きな城に」
「…戻りたいよ」
アリアの、不安に満ちた瞳が俺を捕えている。
何百人、何千人そして何万人の人間の思いや考えを、全て受け入れられる程俺は賢くない。
「戻りたくてたまらないよ。
ロアもセアも、嫌いな教師も嫌な物も、全部全部大切にするから戻りたいって、目を閉じて何回も願った。
逃げ出したくてたまらなくて、ここから逃げるにはどうしたらいいか考えてた…」
だけど1人でも何人でもいいから理解する事ができたら、俺はまた微笑む事ができるのだろう。
幸せになろうと頑張る努力を、支える事ができるのだろう。


