One s death -the last sword-

「行こう、レベッカ」
「駄目です」
「アリアが人質にとられてんのに、見過ごす事なんてできるわけねぇだろ!!」
声を押し殺して怒鳴ると、レベッカは何か言いたそうな顔をしたが、言葉には出さなかった。
――俺が、全部分かってると分かってるから。
「『王』は、自分の国だけ守ってればいいのか!?」
勢いをつけて飛び出し、馬にまたがる。
1人2人と立て続けに斬っていき、アリアの後ろに降りて後ろでくくられた縄をほどく。
だがすぐに、首筋に銀色の冷たい刃が押し付けられた。
アリアの顔は心なしかやつれて、今にも泣き出しそうだ。
俺はこれ以上不安がらせないように、微笑んでみせる。
「レディック様…」
「全部俺のせいだ。ごめん、アリア…」
その時、アリアの背後から1番見たくない人物が現れた。
俺の心臓は急速になりだし、冷たい風が切り裂くように頬をかすめる。
「…ラーバン・キャンクイール…」
口元に憎たらしい笑みを浮かべ、綺麗に手入れされた馬にまたがったカスクライ王国の『王』。
装飾過多な衣服をまとって、王としての貫禄をまき散らす。
「レディック・ラ・アンサー。ラ・サズリックの王太子殿下」
「…今は王だよ。ラーバン・キャンクイール」