One s death -the last sword-

俺は、かなり遠い所から相手を見つける事ができた。
何をしているのかは分からないけれど、予想以上にリラックスしているようだ。
何かの考えや、罠があるのだろうか。
その時、俺の耳に遠くから小さく悲鳴が聞こえたような気がした。
木の影から隠れるようにしてうかがうと、兵士ではない人間が地面に座りこんでいるのが見える。
いや、女性だ。
「…リア」
「え?」
すぐ横にかまえたレベッカの顔を思わず見ると、とても信じられないといったような表情をしていた。
「レベッカ、どうした?」
「アリア…」
驚いてもう1度よく見てみると、確かにアリアだった。
力が抜けたように座りこみ、うなだれている。
馬に乗った兵士から見下ろされて、ほとんど大きな動きは見えない。
何かされたのだろうか?
怪我は?
大きくなっていく不安が、俺を焦らせる。
「まさか人質?…アリアが」
「…」
返事は、なかった。
レベッカはアリアだけを見つめて、剣に手をかけていた。
全部俺のせいだ。
今すぐにでもアリアを助けだしたいはずなのに、レベッカが飛び出していけないのは俺の居場所を知られてはいけないから。
それ以前に、アリアが人質になったのは…。
全て俺のせいだ。