One s death -the last sword-

前を見ても、曲がる事のないそのレールに嫌気が差しまた下を向いて歩く。
俺は いつまでも
その繰り返しだと思ってた

フォークでサラダのプチトマトを刺そうとして刺せなかった時、ようやく俺は決心した。
フォークもナイフも元の位置に戻して膝の上に手をおき、上目づかいにようやく口を開く。
「…あの、すみません。随分紹介が遅れてしまって。自分は…」
「『レディック・ラ・アンサー』」
自分の名前が出た事によって、俺の頭も上に向きつつある。
「食事の間に、失礼ながら観察させていただきました。その食べ方は、確かに王家のもの。私の名前は、ディット・サバー。昔は農民の分際で、クリスタント王の補佐官を務めていた事もあります」
「村長兼補佐官ですか…」
「補佐官の仕事の方は、ラグアベールと共にやっていましたけど」
「…1人の王に、2人の補佐官?」
再度つがれた水を飲み、心を落ち着かせる。
その時ディットの口が微笑みに変わり、昔を思い出すかのような表情になった。
「クリスタント王は、自分を王だと自覚なさっていたのか…。勉学に長けたお方でしたが、民と同じ理屈より心で行動する方でしたから」
目を細めて、優しく微笑む。