「良いですよ。たとえする事があっても、そんなの次です」
どうぞ、と示された椅子に座り言葉を選びながら口を開いた。
「今までっていうか、ラ・サズリック王国の事を知ってから、レベッカから自分の事は教えてもらったけど何というか…レベッカの昔は知らないなって。カスクライ王国にいた頃は、レベッカの昔なんて興味なかったし、聞く必要なかったし、聞いても答えてくれないだろうし、知ってる人もいなかっただろうし。…ラクトンさん、知ってる?」
「そりゃあ…まあ。何せラ・サズリック王国は、何よりも王族は民との交流を大切にしていましたし。レベッカ・ラクロイムは、剣の達人でしたよ」
ラクトンは昔を思い出すように腕を組み、眼鏡を指先でいじりながら答えてくれた。
「多分、レディック王…は4歳の時にレベッカ・ラクロイムと出会います。
レベッカ・ラクロイムの親は、王族専属の医者でクリスタント王と絶対的な信頼を築きあげていました。
そのせいか城内では地位も高く、でもとても気さくな性格の方でしたので、王族にも民にも慕われていました。レベッカ・ラクロイムも、そんな両親を誇りに思いまた両親も息子を溺愛していたようです」
溺愛…。