それから数ヶ月後、僕とベルカの盛大な結婚式は行われた。
国中の者を城に入れさせ、どんな身分の者でも対等のように扱わせた。
「クリスタント王、ご結婚おめでとうございます」
「クリスタント王、ベルカ王女。この度は……」
次々とかわされる挨拶にも、簡潔なものから1生続くんじゃないかと思うものもあった。
そんな中でも、ベルカは僕の隣でいつまでも微笑んでいた。

「……乾杯!!」
そう1言だけ壇上で言葉をかけると、広いホールの中でグラスがぶつかる音が響く。
僕も口をつけるフリだけして、急いで壇上をおりた。
少し目を離した隙に、ベルカは姿を消していた。
こんなに、心配する程の事じゃないのかもしれない。
だけど、何でか僕は廊下を走ってベルカを探していた。
「…ベルカ、ベルカ」
1部屋ずつ扉を開けて、ベルカを探す。
その部屋の中に求めた姿が見つけられないと、焦りはつのっていった。
「…カスクライ王国の王は、来てないのですか?」
ベルカの声だ。
急いで扉を開けようとしたが、何かが邪魔をする。
「はい、ベルカ王女。カスクライ王国ラーバン王は、今日は行けないとの報告が……」
「…そう」
微かな、ため息が聞こえた。