「いえ。ラーバン王。この国にいる限りカスクライ王国の民であるというのなら、抵抗などいたしません」
ラーバン王の目が、少しだけ動いた。
そらす事なく、睨みかえす。
「この国の民ではなかったら?」
ひだまりのような金色の髪の毛が、冷たい印象に変わっていく。
「この国の民ではなかったら…」
口元が、自然にゆるんでいった。
叶うはずもない事をいって、この世界はどう変わるのだろうか?

「……私は、この足で走ってラ・サズリック王国に向かいます」