いつでもどこでも無表情だと思われがちだが、頬が緩む事だけはおさえられない。
「俺も行っていいかな?」
「いいんじゃないですか。ラーバン王も怒りはしないでしょう」
レディック様は満足そうに息を吐き出すと、また並べられた食べ物を口に運び出した。
「レディック様、ゆっくり噛んでください」
15歳の王太子殿下に言う台詞ではないが、言っても聞かない事は確かだ。
俺は密かにため息をつき、ゆっくりと口の中の食べ物を噛みしめた。
外では、ラーブルがやかましい程鳴いていた。
喉を通る冷たさに咳き込みそうになる。
いつの間にか掴んでいたグラスが、目に入った。
時々、とてつもなく自分が天然かもしれないと思う事がある。
「なあ、レベッカ」
「……はい」
喉を押さえて目を向けると、レディック様はグラスを回しながら天井を向いていた。
中身のオレンジ色の飲み物が、こぼれそうでこぼれない。
「俺が、街に出たいっつったらラーバン王怒るかなぁ」
もう、いい加減こういう突然な質問はナシにしてほしいものだ。
「駄目ですね」
「でもっ!!でもさ!!俺あんまり顔とか見せてないじゃん!!この前の15回目の生誕祭の時だって…」
「ラーバン王が許されると?」