One s death -the last sword-

「……そう、サラが」
瞬時に、胸の中に憎悪の感情が芽生えた。
剣を握る手が、汗ばむ。
「サラ、俺は1度言った事は実行する性格なんだ。残念ながら」
「…貴方に、私が殺せるの?」
涙ぐんだサラの目が、俺を見つめる。
同情を誘おうなんて気がないのは、分かっている。
だからこそ、俺は剣を振るう事ができなかった。

サラを
いつの間にか
愛していた。

王の首を、斬る。
がくん、と肩が落ち鮮血がどんどんと流れ落ちながら、床にたまっていった。
サラの声は、聞こえなかった。
サラに、1歩1歩近づく。
サラは、顔の前に短刀をかまえていた。
「そんな構えじゃ、斬れないよ」
1瞬で、サラの短刀を払う。
金属が床にぶつかって、耳にさわる音が響いた。
サラの手が、小刻みに震えている。
懐に浅く剣を突き刺そうとした、その時。
「…殺される前に、ひとつだけいい?」
肩が触れ合っていて、呼吸さえも確認できた。

あの日と同じように
サラの手が
俺の手を強く握る。

「私、クラバスの事が―――」
サラの腹から、血が流れ落ちた。
うずくまるようにして、サラの体が崩れ落ちる。
口からも、血を吐く。
サラの目が、俺を1瞬だけとらえて閉じた。