One s death -the last sword-

共に、警備をしている兵士を話しかけながら自然に影に連れこむ。
1番経験が長そうな、がっしりとした体型の男。
体型なんて、どうでもいい。
正直、こんな田舎国の兵士の剣技なんてたかが知れてる。
俺は、冷めた目で男を見下ろした。
剣を抜き、1瞬で首筋に刃を当てる。
男はそれでも動かなかった。
「…まさか、クラバスが間者だとは」
「王の居場所は何処だ?」
刃の力を、不意に強める。
それでも、男の一方的な話は続いた。
「俺は、お前の事が好きだった」
「…過去形なんて、信じてないよ。お前は同性愛者か?同情を誘おうなんて、無理な話だ」
首筋から、1筋の血が流れた。
睨み合いが、しばし続く。
「さあ、吐け。王は、何処にいる?」
「あがいても、無駄な事が何故分からない?こんな事、無駄だ」
剣よりも、確実に胸に刺さる言葉。
その言葉を胸の中で否定しつつ、刃先を下にずらした。
「……悪いが、これが仕事なんでね」
大きく、傷口が開く。
ついに男の顔が苦痛に歪んだ。
「吐け」
「……最上階の、最奥だ。兵士が…周りを囲んでる……」
「ご苦労」
生かすなんて、1言も言っていない。
俺の剣は、男の首を斬った。
そのまま、歩き出す。