One s death -the last sword-

あれから、数十年。
今でも、夢に見る事がある。
ベンチに座りながら、空を見上げた。
雲が同じ方向に、動いていく。
「クラバス!!」
「…サラ」
自然に、ため息が出る。
この国に来て、およそ1ヶ月。
正体がバレてはいないものの、こう仲良くなっては大分支障が出る。
密かに城を調べているはずが、後でその行動が笑い話としてサラの口から語られた。
俺のため息を聞き、サラの形の良い唇がつりあがる。
「…ため息?」
口をとがらせて、拗ねたように見つめてみる。
サラは、それでも腰に手をつけて近づいてきた。
不自然な、笑顔。
「さぼってる分際で、何ため息ついてるのかしら?兵士の人達が、クラバスを探してたけど」
「さぼってるんじゃない。休んでるんだ」
有給希望だけど。
「何時間も?城が襲われたら、どうするの?」
「襲われる不安・要素があるの?」
いつの間にか、諜報活動の方に重心を置きすぎていたらしい。
こんな経験は、今までなかった。
サラが、俺の目を覗き込む。
不審?
「クラバス…目、どうしたの?」
「…どうかなってる?」
負けないくらいの圧力を、かけてみる。
そらさずに、サラの真っ直ぐな目を見つめた。
それでも、揺るがない。