One s death -the last sword-

「捨て…られたんだ」
クライスの顔が、1瞬にして沈むのが分かった。
慌てて、言い訳が口をついて出る。
「父さんが、捨てたんだ。俺じゃ…ない。クライス?」
口をとがらせて、クライスは拗ねていた。
目線は、斜め前だ。
「今日帰ったら、必ず拾ってくるから。…な?」
顔を覗き込みながら、クライスと目を合わせる。
クライスの目が、少し下がって俺をとらえた。
「絶対…な?」
「ああ…」
内心、ほっとする。
学校の外のベルが、始まりを告げた。



嫌われたくは ない。
だけど
自分を 見てほしい。
本当の自分を見せたら
その目は 逸れていく。
だから 俺は
心を閉ざす。

偽りに染まっていく世界の
終わりを望みながら。