One s death -the last sword-

父は、俺が他人と関わる事を快く思ってはいない。
高い身分の貴族にとって、友とは何なのか?
庶民にとって友とは、言葉では言い表せない存在だ。
弱い部分をさらけだす時もあれば、弱い部分を利用して1時的に蹴落とす事もある。
でもやっぱり大切で、親よりも自分を分かってくれる事もある。
……らしい。
生憎、俺は貴族の子だ。
幼少の頃からくちうるさく言われ続け、『貴族の生き方』というのを学ばされた。
理想通りに育たなかったのだが。
友は、いない。
弱い部分をさらけだしたくとも、『貴族』には弱い部分なんてない。
蹴落としたくとも、もう既に上なんだ。
…親なんて、元々自分を理解してくれてない。
それでも、俺は友達をつくった。
いや、つくりたくてつくったんじゃない。
でも、何かが満たされる事は決してなかった。
目の前に、料理ののった皿が並んだ。
微かに湯気を立てている。
「いただきます…」
「シャルバーナ、私も同じものを」
「はい」
音も声も、なくなった。
皿をつく音も、たたなかった。
たたせなかった。
声を出す事ができるのは、父に呼ばれた時だけ。
「ザスクート」
「はい、父上」
フォークを置き、父に向かう。