太陽が、高く上がっていた。
夜の月といれかわり、人々に輝きを与えている。
「おはよう、母さん」
キッチンに立っている母の背中に、挨拶をする。
高く結った髪の毛が、揺れていた。
「母さん?」
「…あら」
母の手が、ふいに止まる。
それだけでビクビクするなんて、馬鹿げてるというのに。
「おはよう、ザスクート」
振り返った母の顔は、いつもの笑顔のままだった。
当たり前だ。
変わってるはずがない。
「朝食、食べるわよね?すぐ作るから、待ってなさい」
「…うん」
手近な椅子に座り、うつむいて密かに息を吐き出す。
食器のぶつかりあう音が、すぐ近くで響いていた。
「ザスクート、昨日はすぐ眠ったのね」
「ああ…うん」
「あの後すぐに夕食を持って行ったのだけれど、鍵がかけてあったから」
「ごめん、母さん」
その俺の声は、何かが焼ける音にかき消された。
ドアが、開く。
「父上」
「ああ、ザスクートか」
眉の間に、深く機嫌の悪そうな皺が入った父の顔。
その瞳は、息子を一目見ただけで終わった。
「手紙が、来ていたぞ」
「手紙…ですか」
「捨てておいた」
何でもない事のように、吐き出すかのように、父の言葉は自然だった。
夜の月といれかわり、人々に輝きを与えている。
「おはよう、母さん」
キッチンに立っている母の背中に、挨拶をする。
高く結った髪の毛が、揺れていた。
「母さん?」
「…あら」
母の手が、ふいに止まる。
それだけでビクビクするなんて、馬鹿げてるというのに。
「おはよう、ザスクート」
振り返った母の顔は、いつもの笑顔のままだった。
当たり前だ。
変わってるはずがない。
「朝食、食べるわよね?すぐ作るから、待ってなさい」
「…うん」
手近な椅子に座り、うつむいて密かに息を吐き出す。
食器のぶつかりあう音が、すぐ近くで響いていた。
「ザスクート、昨日はすぐ眠ったのね」
「ああ…うん」
「あの後すぐに夕食を持って行ったのだけれど、鍵がかけてあったから」
「ごめん、母さん」
その俺の声は、何かが焼ける音にかき消された。
ドアが、開く。
「父上」
「ああ、ザスクートか」
眉の間に、深く機嫌の悪そうな皺が入った父の顔。
その瞳は、息子を一目見ただけで終わった。
「手紙が、来ていたぞ」
「手紙…ですか」
「捨てておいた」
何でもない事のように、吐き出すかのように、父の言葉は自然だった。


