「芽生ちゃん!!!!芽生ちゃん!!!!」

彩は芽生に呼びかけるが、全く反応がない。

「…誰か先生は呼んだ?」

「さっき一緒にここに来た2人が呼びに行った…。」

彩と芽生とは同じ4組だった優哉が春菜に状況を聞く。

「確か今は職員会議中だったはず。」

恒星は今朝担任の野原が言っていた事を思い出す。
芽生の名前を呼び続ける彩に、中は冷静に言葉をかけた。彩は落ち着きを取り戻し、ふと周りを見渡すとあることに気づいた。

「渡り廊下の窓…開いてる。」






「おい!!お前ら!!大丈夫か!?」 

彩が呟くと同時に、朝倉を中心に数人の先生が駆けつけた。

「今、他の先生が救急車を呼んでくれてるから。とりあえず1番最初に見つけた女テニの4人はこのまま職員室に来て話を聞かせてくれるか?卓球部は体育館に戻ってろ。これから状況見て指示が出ると思うから、それまで待機してな。」

「分かりました。」



それから彩達は体育館に行き、海と恭介の所に戻った。

「皆暗くない?大丈夫?」

いつも笑ってる中や恒星でさえ、外に行って戻って来ると暗い顔をしていたので、流石に2人は心配する。

「4組の女子が血流して倒れてた。多分死んでる。」

予想外の恒星の答えに、海と恭介は動揺を隠せない。



ピンポンパンポン



その時、校内放送が鳴った。


『えー、現在部活動を行なっている生徒を含め、校内にいる生徒全員に連絡します。今日の部活動はこの放送をもって終了とします。これからグラウンドや体育館、校舎内などそれぞれ先生が向かうのでその指示に従って行動してください。もう1度繰り返します。ーーーーー』


体育館内の生徒たちは、何事かと驚きながら声の出るスピーカーを見上げていた。
今の放送で、海や恭介も嘘のような恒星の話を信じたようだ。校内放送のすぐ後、急いで来た体育の先生が体育館中に拡声器を使い指示をした。



『先程も放送があったが、すぐに片付けをして部室に戻りなさい。生徒全員が部室に入った後、ドアを閉めて次の指示まで待機するように。なお、今日、中庭は立ち入り禁止とする。部室棟から中庭への道は、先生達が誰も入らないように見張りをするので注意するように。』


今までにはない明らかに異様な状況に、生徒たちは何も聞けず、それぞれ片付けをして部室に戻った。