幸い、私たち2年の間ではそこまで過激派もいないらしく。
特に質問攻めにされることもなく、無事に放課後を迎えられた。

「絵梨、帰ろう」
「早く帰るに限るわ」

そそくさと教室を出たところで、ふと肩を掴まれる。

「…タク!?」
「は?」

2人して振り向くと、そこには仏頂面のタクが。

「…帰るのか?」
「え…うん」

なんだか異様な視線を感じてそっと目を動かすと、階段の影から。

「沙穂。あそこにファンクラブの過激派」

絵梨も気づいたようで、こっそり耳打ちしてくれる。

「信也は部活見学してくるから遅くなる。俺は帰る」

もしかして、当然のように私と帰る気でいる…?

「あ、あの、私は絵梨と帰ろうかなーって…」
「登校2日目で通学路わかんない俺を置いて?」
「な…、だって朝…っ、」

っと、これは秘密なんだっけ。

「とにかく!通学路なら携帯の地図とか見れば!?」

言い捨てて、絵梨の手を取る。

「沙穂!」
「じゃあね!」

睨んでるオネーサマ方の横をすり抜けて、慌てて階段を降り、昇降口までダッシュ。

「…良かったの?」
「だって!絵梨も見たでしょ!?3年生の顔!めっちゃ怖かった…」

タクには悪いことしたかなと思うけど、朝だって一緒に登校したのだ。
覚えてることを祈る。

「まあ、普通に話してる時点で、なにこいつ?って思われたのは必至だけどね」

…確かに。
でも、完全に無視するわけにもいかないし。

「めんどくさ」
「島本兄がイケメンなのが悪いわね」
「本当に」

どっと疲れた。
なんで私がこんな目に…!