ありさがやたら真剣な顔でそんなことを言うから、あたしは戸惑ってしまった。

運命とか一目惚れとか、漫画の世界じゃない?

ナイナイ! ちょっと笑ってしまった。

「美空も美空よ?

頭真っ白でたどり着いたのがこの喫茶店だったのかもだけど、いきなりあいつに実家ばれちゃってるし、おばさんも知られちゃったし……。

本当に危機感ないんだからっ!」

得体の知れない転校生が、美空の鈍感な懐に入り込んでしまうっ! 心配っ!

ありさはあたしに説教を始めたと思ったら、今度はよく分からないことをぶつぶつと呟き始めた。

「あ~考えすぎだよありさ。変だけど悪いヤツには見えないし、大丈夫だよ~」

宥めると、ため息をつかれた。

「はぁ、これだから美空は……。
とりあえず忠告はしたからね。気をつけてね。じゃ、今度こそ帰るわね」