「この辺でいっか」

着いた場所は、歩道から外れた一本の木の下だった。

「道のど真ん中で突っ立てちゃあ危ないからな。ここなら大丈夫だろ」

彼は満足げに笑うと、ずっと繋いでいた手を離し、その場に胡座をかいて座った。
あたしもその隣に座って空を見上げた。

……。
花火、一応見えはするけど、お世辞にも見晴らしが良いとも言えない。

どおりで周囲に人がいないわけだ。
妙に納得しながら隣をチラリと見やる。

「あの、ごめんね……」

あたしの呟きに、空を見上げていた彼が、こちらに目線を移した。

「どした? 迷子ちゃん?」

だから迷子ちゃんって呼ぶのは! と言いそうになるのをぐっと堪えた。