ドジな小説家見習いの冒険

カミーユの周りには六人の人物がいた。みんな突然見知らぬ場所に来たことに驚き、「ここどこ？」と戸惑っている。しかし、その全員が誰なのかをカミーユは知っている。何百回もあの本を読み返してきたからだ。

「えっと、魔獣使いさんですよね？それからあの日の初恋を君にを書いてくださった皆さんですよね？」

「あたしたちのこと、知ってるの？」

緑の魔獣使いの衣装ではなく、長めのレースのついた白い袖に水色のリボンを結んだドレスを着た女の子ーーー榎本未来（えのもとみく）が訊ねる。彼女はこの世界では魔獣使いではなく、魔法使いの恋人でただの人間だ。

「もちろんです！だってあたしはミーナ先生の大ファンで今は弟子ですから！」

カミーユがドキドキしながら訊ねると、「アイツと知り合い？」と狼の耳と尻尾を生やし、黒い上着にシャツを着て十字架のネックレスをぶら下げた南雲瀧（なぐもたき）が驚く。彼は弓使いではなく人狼だ。