HoneyとBunny

「おはよー恵里香。」

「おはよ。衣奈幼なじみと仲ええんやな、もしかして彼氏?」

「ちゃうよ〜、幼なじみは幼なじみ。」

席に着くなり突っ伏して眠る南は幼なじみだ。
それ以上でもそれ以下でもない。

「衣奈ちゃんの彼氏は青蘭やもんなぁ。」

態とらしい声が衣奈の背後から飛んできた。

「……え?!」

「俺見ちゃった。ホームでイチャついとったやろ?」

「え?なに、まじでぇ?あの後彼氏とおったん?」

明らかに土屋圭兎だ。
あの男だ、あの男が変なことを公共の場でしたからあらぬ誤解が生まれた。

「ち、違う!あれ!幼なじみ!」

「幼なじみ?南くんは?」

「もう一人いるの、すぐふざけるアホが。」

「ほんまにぃ?」

「ほんま!昨日も偶然会うて……南に聞いてくれたらほんまやって分かるから。」

「わかったわかった。」

息を切らすほど否定する衣奈が面白かったのか清依は笑ってドスンと席に着いた。

「で、その青蘭生どうやった?」

「あ〜ハッキリ顔まで見れへんかったわ。やけど雰囲気はイケメンやったなぁ。」

うーんと考える清依。
対して恵里香は衣奈に写真はないのかと聞いた。

「……中学んときのならあるけど。」

「見して!」

なんとか探した南と圭兎のツーショットを見せると恵里香はあんぐりと口を開けてから「イケメンじゃんてかこれ土屋圭兎じゃない?!」とひと息で言い切った。

「名前聞いたことあるわ、バスケやっとる奴やろ?」

「うん。」

圭兎もどうやら顔が広いらしい。

「まじで土屋くんと幼なじみなん?強すぎん、衣奈。」

「強いってなんやねん。衣奈ちゃんはこんなイケメン近くにおって好きにならんの?」

「ならんよ。土屋くん、ほんまにすぐふざけるしアホやもん。」

今朝の仕打ちを思い出して胃がムカムカした。
アレを青蘭で見せびらかしてるかと思うと頭が痛い。

「土屋くんってそんなキャラなんや。」

「キャラっていうか、なんやろあれは……。」

「衣奈って四中だよね。土屋くんって四中ちゃうんやなかったっけ。」

「あぁ、ミニバスチームが一緒やってん。うちらの地元のチームが人数少なくなって、合併したチームに土屋くんがおってそれからの仲。」

恵里香が何故か感心したように頷くと、中学三年の土屋圭兎をジッと見つめた。

「……衣奈、土屋くん見たいって言うたらワガママ?」

「え?」