午後5時半。同窓会の会場に着いた。あのあと、服を優理にセレクトしてもらい、髪もまとめてもらった。履きなれないピンヒールに、ほんのり淡い透け感のある青のワンピース。ワンピースなんていつぶりだろうか...。
しっかり振る舞えているだろうか?

「あれ、優理と蒼唯ちゃん...?」
爽やかな聞き覚えのある声がして、振り返るとそこにはいつも彼と仲良くしていた、颯汰(そうた)くんがいた。颯汰くんとは、高校が3年間一緒ということもあり、親しくしてもらっていた。
「あれ、颯汰じゃ〜ん!元気してた?...なんか、あんまり変わってないね?」
「優理もあんまり変わってないと思うけど...。蒼唯ちゃんはなんか、大人っぽくなったね。その服似合ってるよ。」
「ふっふー!でしょ〜この服はね、わたくしがセレクトしたのですよ!!あと、なんかうちはもう少し褒めるところないんか?」
「んー。あ、雑誌見たよ。また名前載ってたね。天才若手デザイナー現るみたいなこと書いてあったよね。」
「あれはー、大袈裟なんですよ〜。全然そんなことないもん。ほんとに!!」
「でも優理。ほんとにすごいと思う!こんな服まで選んでもらって...。見習いたいよほんと。」

本当に。何も持っていない私とは大違いだ。

「蒼唯ったらいい子すぎるわ!泣いちゃうっ!!」
「って、そーいえばあいつは???どうしちゃったの颯汰〜」
「あー、それがあいつ遅れてくるらしくて。」
「なんで?」
「実はー」
そう話そうとしていた時に、次から次へとクラスメイトたちが颯汰くんの周りに集まってきた。颯汰くんは持ち前の明るさと人柄の良さから昔から大人気だったし、まるで太陽のような人だった。だから私にも、声をかけてくれた。
「颯汰元気そうじゃんー。...あれ、一ノ瀬は?もう6時なるぞ?」
「それが遅れてくるってさ。あと少しで作ってさっき連絡があった。」
「へー、あいつも色々大変だもんな〜。」






「『結婚』したんだろ。」