“非日常”って直ぐに始まってしまうものなんだね。
これは僕の非日常が始まって、終わるまでの1年間のお話。
明くる日、なんとなく、図書館の本を眺めていた時。
彼女は現れた。
楓「あ、【ぼく】くんだ〜」
う〜ん……と考える仕草で首を傾げながら僕を観察するような目付きで見る、彼女はクラスメイトの【水野 楓】
陰キャの僕とは全く関係の無い人。
楓「ん〜あんま喋ったことないんだよね〜。正直いって怖いし。睨まれそうで。」
そんなふうに思われていたのか、と内心では思ったが、僕には関係の無いこと。
「……」
とまぁ、こんな感じにグイグイと見られても気にならないのは、
“彼女が幽霊だから”
彼女は僕が見えていないと思っている。
だからこんなに色々と呟いてジロジロと見たりできるのだ。
昔っから幽霊の見える体質な僕はそれが丸見え。
今回も無視しようと思ったのだが、知り合いの幽霊となると別だ。
楓「ん〜……でも眼鏡外したら割とイケメンじゃん……?」
その言葉にピクリ、と反応してしまう。
しまった、と思ったが最後。
楓「んん?もしかして君、私の事見えてる?」
「……。」
僕は彼女を全力で無視し、僕と彼女の間で心理戦が始まったその頃。
楓「……ん〜」
彼女がキスしようとしてきた。
「ッッ……わ……っ」
耐えられなくなり、思わず仰け反る。
楓「ほらやっぱり見えてる!!」
「……だからどーしたの?」
楓「君って見える人だったんだ〜霊能力者???」
「ねぇ話聞いてる?」
楓「霊能力者だったら私の事生き返らせるってできる??」
「話聞いてる?」
楓「私が質問してるんだから質問で返さないでよね!」
「こっちのセリフだよ」
そこまで言うと彼女は黙り、しみじみとした様子で言う。
楓「そっかぁ……ごめんね、なんかこの感じ久しぶりでさ、舞い上がっちゃった。」
「そう。……君、いつ死んだの?」
楓「知らないの?クラスで騒いだんじゃないかな。
私が死んだって聞いて。私は本人だから知らないけどね!
君本当に他人に興味無いんだね。」
「そうだね。他人は他人だよ。」
楓「死んだのは…1週間前だよ。」
「死因は?」
楓「覚えてない。1週間前に、気がついたら花瓶の置かれた自分の席に座っててさ、『あれ、私死んだんだっけ』って思っただけでさ。」
「へぇ。」
楓「ほんと君、変わってるね。」
「足がぱったり無くなってる幽霊の君に言われたくないね」
楓「そう言えば私、透けないんだよね。」
「へぇ?初めてだな、そのパターンは」
楓「うん、透けはしないけど、『なかったこと』になる。」
「なるほど」
楓「今ので分かったの?」
「さあ」
楓「……あのさ、」
そこで1度、彼女は深呼吸し、真っ直ぐに僕の目を見据える。
楓「しばらく、君のそばにいていい?」
「…………え?」
突然の申し出に驚く。
楓「ダメ、かな?」
にしし、と笑いながらも眉毛をハの字にし、本気で困っているふうに、胸の前で手を合わせながらお願いする彼女。
「いいけど、なんで?」
楓「いいの!?いいの!?よし!!聞いたからね!!!」
「君に話を聞こうって言う気はあるの?」
楓「ありがとう!お礼何がいい!?キス!?ハグ!?」
「どれも要らない。話を聞きなさいって幼稚園で習わなかった?」
ちぇっ、とつまらなそうにしながらも彼女はかなり上機嫌だった。
「あ、後、そんな簡単にキスやハグをしちゃダメだと思うよ」
楓「……君って優しかったんだね。」
「どういう意味だよ」
そんなこんなで、
ある所で足がぱったり無くなっている幽霊の【水野 楓】との騒がしい日常が始まったのだった。
どうも!こんにちは!こんばんは、そらそらんどせると申します!
名前の癖が強いですね。
僕にはネーミングセンスというものが存在しないのです。
一人称は僕ですが、一応、女やってます。
文才の欠片も無い、クソガキ素人ですが、よろしくお願いします!