「おぅ」



サッと隣に来た颯


「この二人・・・任せる」


「いいのか?」


片方の眉だけ上げ不敵に笑う颯を見上げて


「煮る、焼く、臓器に分ける」


指を一本ずつ立てて見せると
僅かに颯の目に焦りが見えた


「私ならね」


そう言って笑うと
少し肩を落として口元を緩めた颯

任せると言った以上
口は挟まない


「じゃあ、よろしく〜」


颯にヒラヒラと手を振ると
兄に肩を抱かれながらホテルへと入った


その背後で


「・・・まさしく冷姫だな」


身震いしながらため息を零した颯のことは知る由もない











兄の腕に囚われながら
パーティ会場へ入るとステージ脇のソファに座った


「愛、早かったな」


近づいてきた組長は隣に座った


「気分を削がれたから」


「俺の所為か?」


無言の肯定のように組長を見上げると
フッと頬を緩めた


「愛は強いな」


「見てた?」
 

「あぁ」


「桧垣さん、そのうち立ち上がれるはず」


そう言って笑顔を向けると
‘そっか’と目尻を下げた組長は


「二ノ組、よろしくな」


頭を撫でて立ち上がった

入れ替わりに座った兄は


「愛、碧斗と何話してた?」


少し不安そうな顔を見せると
肩を抱いた


「二ノ組よろしくって」


「それだけか?」


間近で捕らえられた視線が
探るように揺れる


「一平に嘘ついたことある?」


甘えるように肩にオデコをつけると


「ないな」


頭の天辺にキスが落ちた