「颯っ」

「あぁ」


窓際の席に移ると
颯はバッグの中からパソコンを出した


「・・・チッ」


佐和の内縁の妻にして
元クラブホステスの女は

現在進行形で大澤碧斗にぶら下がっているクソ女

探っても繋がりなんて一本も出てこないし

立花とその側近とも寝ている


・・・組の慰みモノね


こんな女がいる所為で他の価値を下げる錘になる

龍神会三ノ組の傘下で小柴組の娘らしいが

どうせ・・・
そう思って確かめるも答えは決まっていた

携帯の着歴をタップすると
兄の声が聞こえる前に吠えた


「・・・。」


暫し絶句していた兄も
確認のためとは言え
手を煩わせたことだけ詫びた


「愛、休憩にするか」


絶妙なタイミングで声を掛けてきた叔父に連れ出され

颯と三人で制服に似つかわしくない
料亭に向かい合った


「一平とは相変わらずだな」


「そうね」


「襲名披露には出るだろ?」


「出る意味がわからない」


「いや、出ない意味の方がわからないぞ?」


叔父とのやりとりを見ている颯を放置して

果たし状のような襲名披露の招待状を思い浮かべていた


・・・田嶋は取り潰し


そこで私も用済みになるはず

そう踏んだ私は
やっぱり子供なのかもしれない

親から子供へ引き継がれる家業なら
どう低く見積もっても私が主になる闇

フゥとため息を吐き出すと


目にも鮮やかな彩りの食事へ意識を移した