・・・・・・
・・・









「もう、やめろっ!」






完全に我を忘れた私の耳に
突き刺すような勢いで飛び込んできたのは

懇願するような切ない颯の声だった



「・・・あ」



フゥと吐き出した先に見えた
三つの塊

それが藤本と木場、三崎だと気づいたのは

何度目かの深い息を吐き出した頃


「愛?」


ゆっくり声の方を見ると
壁に寄りかかって座る颯がいた

こいつを先に寝かせるべきだったかと
少し後悔しながら


スタスタと歩いて塊を確認する


「死んでないじゃん」


軽く吐き出した声に
背後の颯が薄く笑った


「これはどういうことだ」


もう一つ聞こえたのは父の声
そちらを向くことなく


「あんたの差し金?」


煽ったような私の低い声に
「愛?」
父の焦る様子を感じる


「質問に答えて」


「・・・っ」


何を答えても言い訳にしかならない
イコール私を敵に回したと同じこと

依頼をする理由をも失ったようで


言葉を失い固まった父を放置して

颯の側へ行くと


「帰るのか?」


最早片目の半分しか開いてない颯が
真っ赤な唇を動かした


「その顔じゃタラセないわね、ククッ」


「グッ、・・・っっ」


釣られて笑おうとして息を止めた


「肋骨と・・・」


ザッと見たところそれ以外は打撲みたいで少しホッとする


「立てる?」


「手伝ってくれ」


「高いわよ」


「あぁ」


薄く微笑んだ颯に合わせるように座ると


「愛っ!!」


大きな声が背中にぶつかった