「・・・違うっ、違うの」




感情が込み上げるのを抑えられずに
一平に抱きついた


「・・・愛」


これまでと同じように受け止めてくれる一平は
背中に手を回して宥めるようにトントンとリズムを刻んでくれる


肺の中いっぱいにグリーンの香りを吸い込んで
揺れる想いを落ち着かせる


想いを伝え合ったあの日より
一平への想いを自覚したからか


なんて伝えれば良いのかさえ迷う

でも・・・待ってくれている一平に自分の言葉で伝えたい



「愛」


「ずっと・・・」


「ん」


「ずっと・・・側に居て欲しい」


「・・・っ」


「これまでも、これからも
私の隣には一平に居て欲しい」


「・・・・・・愛」


「離れれば・・・離れるほど
一平に会いたくて」


「・・・」


「自分で会えなくした癖に
一平の声が聞きたくなるの」


「・・・」


あの日一平がくれた言葉を
今度は私から伝えたい


「一平が居ないとご飯も食べられない」


「・・・」


「一平が居ないと何もする気にならない」


「・・・」


「だから」と想いをこめる


「一平がいれば何も要らない」


「・・・っ」


「一平と一緒に居たい」


「あぁ」


「一平に私だけを愛して欲しい」


「あぁ」


「一平に名前を呼んで欲しい」


「あぁ」


「毎朝一平の腕の中で目覚めたい」


「あぁ」


「私は一平しかいらない」


「・・・愛」


「これからもずっと」






「愛してる」




そして・・・
いつかの尋の質問


「朝起きて一番に一平に“おはよう”を言いたい」


「・・・俺もだ」


「美味しいものを食べた時に一平にも食べさせてあげたい」


「俺も」


「熱を出して辛い時には一平に側に居て欲しい」


「俺も」


「もう二度と会えないと言われたら
何を犠牲にしても最後に一平の笑顔を見たいと思うの」


「・・・っ」


耳を付けた一平の胸から聞こえる
早い鼓動を嬉しく感じてクスッと笑えば


「愛?」


触れていた温もりが離れた