「乾杯しよう」


シャンパンとグラスを持って
お気に入りのバルコニーへ出た


ソファに腰掛けると
双子とグラスを合わせる


「「「乾杯」」」


あっという間に空になったボトル

気分が良くなって
景色を見るために手摺まで移動した


大好きな眺めはそのままだけれど
これまでのように
マンションの敷地内に護衛は居ない



「手薄だな」



いつのまにか隣に立っていた尋



「そうね」


「このままで良いのか?」


「一度リセット」


「そうか」


「これから組長に会ってくる」


「二ノ組のことか?」


「そう」



これからのことはまだ双子には話していない

自分の中で固まった決意を
組長へ報告した後でと考えている



「愛」


「ん?」


「南はいつでも愛の味方だ」



揺るぎない想いを貰うだけで
私の決意が強固なものになる


‘護られる姫’では物足りない



“俺が護ってやる”なんて
死に値するような言葉は返上する



「尋」


「ん?」


「ありがとう」


「ん」



頭を撫でる尋を見上げると
口元が三日月型に変化した



「俺も!愛の味方だ!」



話が聞こえたかのように吠えた巧へ
振り返る

ソファに踏ん反り返った姿勢で
ヒラヒラと手を振る姿が可笑しくて


「ブッ」


堪らず吹き出した




自分探しの二週間は



とても居心地の良い期間で



沢山の初めてを繰り返しながら



18歳の等身大の自分を見つけられた
良い思い出になった