さよならプリズム

 


「でもだから許せなかった
 本当は羨ましかったの」



 あなたのことが羨ましかった。恨めしかった。欲しいものを手に入れた。それは私の欲しかったものだった。光。羨望。嬉しいと笑ったその特別に私はもうどこにもいない。かわりに嫌いの中の根底に瘡蓋として遺るでしょう。

 大好きだったあなたを、嫌いになるということ。


 その感情を許容したとき、光にさよならを告げた。プリズムたち。あの日この場所で無数に光る宝石を二人の宝物にしようと笑った、私たちはいなくても記憶の中で生きている。消えることはなくても、生きていた。その事実は変わらない。
 死ぬことはない。殺すことはない。あった。そこにいた。もう、それだけでいい。何一つ叶わないなら、それがいい。






「きらい」







 声に出して涙を落としたらぱちりとなにかが弾けてしまって、心には膜が張り、いつかまたと約束をした、その言葉にはもう頼らないで歩いて行く。

 決別で、離別で、これが最期だ。






 私はもう還らない。