京一も 変わった…


今まで 仕事に向けていた 熱意を

私と お腹の子供に 向けるようになった。


「涼子。明日 産婦人科に 予約取っておくから。ちゃんと 診察してもらって。」

私は 京一に言われて 病院に行った。

受付をして 診察を待っていると

どこからか 京一が 現れた。


「京一さん!仕事は いいの?」

白衣を着たまま 私の隣に 腰掛けるから

私は 驚いて 京一に 聞く。


「うん。外来 変わってもらったから。涼子と一緒に 先生の話し 聞こうと思って。」

「仕事中でしょ?大丈夫なの?」


私の言葉に 京一は 照れた顔で 頷いた。


「俺も ちゃんと把握しておかないと。涼子のこと 守れないからさ。」

「京一さん 産婦人科の勉強も したんでしょ?」

「もう20年近く前だよ。担当外だから。当てにならないよ。」

「ヤダ。私 京一さんを 頼りにしているのに…?」

「だから…よく聞いておくから。」


京一の 嬉しそうな顔に 私も笑ってしまう。


そのまま 私と一緒に 診察室に入ると

京一は 私よりも熱心に 先生に 色々尋ねて。


超音波で 確認した 小さな点のような 画像を

プリントアウトしてもらって 嬉しそうに 受け取った。


「まだ 全然 わからないのに…」

「いいの。これが命だから。」


京一は 画像を そのまま 胸ポケットに入れた。


もしかして ずっと持っているつもり?


こんなに 喜んでくれるなら

もっと早く 子供が欲しいって 言えばよかった。


京一の笑顔に 満足して 私が 微笑むと

京一も 少し照れた笑顔を 返してくれた。