「涼子。今週は いつ仕事?」

「んっ?明日の午後 スタジオで撮影が あるだけよ。」

「じゃ 日曜は オフ?」

「うん。…?」


朝の食卓で 京一に 聞かれて。

私は 探るような目で 京一を見た。


「日曜は 出かけようか?買い物でも?」

「京一さん 大丈夫なの?」

「言ったでしょ?仕事の仕方 変えるって。」

「聞いたけど…でも…?」


もし 京一が 本気で 変わろうとしているなら…

京一は 無理しているんじゃない?


「あんまり 楽してると 他の先生に 仕事 取られちゃうよ?」

「ハハハッ。大丈夫。今までの俺が 異常に 働いていただけだから。他の先生は みんな ちゃんと 休んでいるよ。」

「そうなの!?」

「そうだよ。俺は 呼べば すぐに行くから。だから 呼ばれていただけ。俺も 働き方改革を しないとね。」


京一は 鼻の上に 皺を作って クスッと笑う。


照れた時の 京一の癖…


「ンッ?」


京一が 何に照れているのか 

わからないまま 私は 京一を見る。


「今夜も 早く帰るよ。」


京一は 私の頭に ポンと手を乗せる。


「デザートの リクエストは?」

「ハハッ。普通 夕食のリクエストって 聞かない?」

「あっ。そうだね…両方 言ってみて。」

「じゃ ハンバーグと チーズケーキ。」

「フフフッ。子供みたい。」


見送る私に 素早く キスを落として

京一は 背中を向けたまま 手を振った。