その夜 京一に 抱かれて 

私の身体は 驚くほど 反応してしまう。


「あっ…涼子っ。どうしたの…」

「んんっ…わかんない……あぁ…」


圭介に 何度 抱かれても

一度も 得られなかった 感覚に

私は 驚きと 歓びで 震えた。


愛されているから 身体が 反応するのか。

身体が 満たされるから 愛が深まるのか。


長旅の疲れなど まるで感じさせずに

京一は 憑かれたように 何度も 私を求めた。


「京一さん…私 明日 起きられないかも…」

「言っただろ?明日は 午後からだから。ゆっくり寝てて いいんだよ。」

「でも…病院から 連絡が来るんじゃない?」

「いいんだ。俺 もう 呼ばれても 行かないことにしたから。」

「フフッ。無理よ。京一さんは 行くわ。」

「イヤ、行かないよ。」


私は 京一の胸に 顔を付けて

京一の 肌の匂いを 大きく吸った。


「いいわよ。どうしてもの時は 行っても…」

「それじゃ 涼子を連れて行くかな。」

「そんな先生 いないから。」

「新しい 診察のスタイルで。奥さんが 寂しがるから 同行しましたって?」

「京一さんの 隣に座って 診察するのを 見るの?」

「そうそう。時々 キスしたりして。」

「そんな先生 人気なくなるわ。フフッ。」


満ち足りた ベッドの中は 何を話しても 甘くて。


「緊急オペにも 立ち会うんだよ?」

「無理よ。私 血を見るの 苦手だもん。」

「涼子が 卒倒したら オペ投げ出して 看病しちゃうよ。」

「イヤね。患者さん どうするの?」


京一の 温かな手に 撫でられて。

いつの間にか 私は 眠っていた。