ゲートから 出て来た京一は

私を見つけると 笑顔で 手を上げた。


少し疲れた 京一の笑顔に

私は 胸が熱くなって 涙が滲む。


やっぱり 私は 京一が好きだ…


私と並んでも 違和感がない長身も。

知的に整った 穏やかな顔も。

笑った時に 目尻に寄る 細かい皺も。


京一の全部に 私は 惹かれている。


「お帰りなさい。お疲れ様。」


京一に 駆け寄って 声をかけると


「ありがとう。」

と言って 京一は 私の頭に 手を乗せた。


京一の後ろから 歩いてきた 助手の森尾先生に

私は 丁寧に お辞儀をする。


「いつも お世話になっています。」

「いえ。こちらこそ。村上先生には いつも目を掛けてもらって。感謝しているんですよ。」

森尾先生は 真面目そうな顔で 私に微笑む。


「いや。森尾君がいないと 俺が大変だからね。」

優しい笑顔で 私と森尾先生を 交互に見る京一。

「先生。相変わらず 奥様は お綺麗ですね。」

森尾先生の言葉に 京一は 少し照れて

でも嬉しそうに 私を見つめた。


「そんな…」

京一は 俯く私の肩を そっと抱き寄せて


「森尾君。ここで 解散しよう。明日は 昼からでいいから ゆっくり休んでくれ。」

「はい。ありがとうございます。」

「こちらこそ。色々 ありがとう。」

「では 失礼します。」


先に歩き出す 森尾先生を 2人で見送った。