京一と 暮らし始めた頃 私は 

自由と豊かさを 手に入れて 有頂天だった。


大学時代は モデルとして

それなりの仕事が あったけど。


モデル一本で 生活するようになると

思うような仕事が 回って来なくなった私。


京一は そんな私を 救ってくれた。


生活の為に 嫌な仕事は しなくてもいい。

自分が納得する 仕事だけ 受ければいい。


豪華なマンションに 住んで

十分な生活費を 与えられて。


私は 豊かな生活に 満足していた。


京一は 忙しかったけど

私に 干渉するわけでもなく。


私の 楽しそうな姿に 笑顔を向けてくれた。


急に 与えられた 夢のような生活に

最初は ただ 喜んでいたけど。


いつ頃からだろう…


このままじゃ いけないって 思い始めた。

私が 真剣に 京一を 好きになったから。


私も 京一の為に 何かをしたい。

与えられるだけじゃなく

私からも 京一に 与えたい。


京一が 望むものを…


それなのに 京一は 何も言ってくれないから。

いつも 私を 優しく見つめるだけで。


私との時間よりも 仕事を優先するし。


私は 本当に 京一に 必要なの?


ただ 待つだけの 毎日。

与えられるだけの 毎日。


結婚した後も 何も 変わらなくて。


私は 京一と一緒に 生きているって

そういう実感が ずっと持てなかった。


この気持ちを ちゃんと 伝えよう…

私は 京一と 本当の夫婦になりたい。