やっと 私達が 飛行機に乗れたのは

夕方の4時過ぎ。


それでも 今日中に 帰れることで

私達は 最悪の事態だけは 免れた。


座席に座ると ホッとして

私は 眠くなってしまう。


今朝は 早くから 起きていたし。

緊張感から 解放されたから。


少し ウトウトした後 そっと圭介を見ると

圭介も 静かに 目を閉じている。


圭介…短い間だったけど ありがとう。

圭介に 救われたことは 忘れないよ。

これからは ちゃんと京一と 向き合って

わかりあえるように 努力するからね。


圭介の横顔に 無言で話し掛ける。


圭介とのデートは いつもベッドの中で

今回が 初めての 旅行だったのに。

最初で最後の 思い出になったね。


出かけたことは なかったけど

私達は 色々なことを 話したね。


京一には 言えなかったことも…


私達の関係は たくさんの人を 傷付けている。


取り返しのつかないことに なる前に

私達は 大切な人の所へ 帰ろう。


今日中に 帰れたことは そういうこと。


今なら まだ 間に合うって…


圭介の横顔を じっと見ていると

私の視線を 感じたのか 圭介は 目を開ける。

「んっ?どうしたの?」

静かに 問いかける 圭介に

私も 静かに 首を振って。


多分 圭介も 気付いているね。


そっと 私の手を握った。