混雑したロビーは 苛立ちと不安の渦で。

座る場所も 見つけられず。

私達は 柱にもたれて 立っていた。


「涼子 お腹空いただろう?」

「ううん。私は 大丈夫。圭介 何か食べる?」

「でも…レストランに入っても 落ち着かないし。いいよ。」

「私 コンビニで 何か買って来ようか?」

「えっ?俺も 行くよ。」

「圭介は ここに居て。アナウンスがあったら 聞こえないから。」


私は 少しの時間でも 1人になりたかった。


焦っている圭介から 離れたくて。


圭介が 動揺しているのは 

家庭を壊すことが 怖いから?


当たり前のことなのに。


私だって 圭介よりも 

京一の方が 大切なのだから。


そんなこと お互いに 理解していたはず。


それなのに 圭介に 腹を立てるなんて。

私って 本当に 自分勝手だ。


少なくても 昨日までは 

圭介に 癒されていたのだから。


コンビニの中も 人が溢れていて。

私は 飲み物とパンを 手に取って レジに並ぶ。



もう 終わりにするのだから…


せめて 残りの時間くらい 

気持ち良く 過ごそう。


圭介に 救われていたことも 忘れてはいけない…


やっと 会計をして 圭介の所に 戻りながら

私は 少しだけ 優しい気持ちに なっていた。